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スポーツを「視る」技術

スポーツを「視る」技術
著者 二宮清純
出版社 講談社現代新書
出版年月 2002年10月
価格 \700(税別)
入手場所 ブックオフ
書評掲載 2005年10月
★★★★☆

 これまで二宮清純さんの文章は、雑誌に寄稿された短編的なものを何度か目にしたことがあったけれど、他の作家に比べて、スポーツを過剰にドラマチックに描いている印象があり、やや異質に感じていた。
 しかし改めて単行本として、章立てされた文章を通して読んでみると、様々な種目に造詣が深く、インタビューでもそれぞれが抱えている問題について「ズバッ」と核心を突いた質問を浴びせるなど、とても鋭い視点を持っていることに驚かされた。

 本書は、雑誌に掲載された記事から、主に「プロ野球」と「サッカー」を中心に構成されているが、とりわけJリーグの地域密着型クラブや、ジュニアからの一貫指導体制などに関する川渕三郎・前チェアマンの理念は、これからの日本の競技力向上や、底辺拡大に最も大切なことではないかと、食い入るように読んでしまった。
 しかし残念に感じたのは、野球やサッカーに関しては、他の作家にはない独自の視点で語られ、かつ文章に深みがあったのに比べると、期待していたマラソンの高橋尚子選手に関しては、人並みの文章に過ぎないと感じたこと。願わくば、ここでこそ「らしさ」を出して鋭く検証してほしかった(しかもシドニー五輪の話題が中心なのに、写真がベルリンで世界最高を樹立した時のもの、という点からも「適当」な印象を受けた)。

 ちなみに、サッカー日本代表監督のジーコ氏が、「日本の選手は、シュートを力強く、しかもカッコよく決めなくてはいけないと考えている」と苦言を呈している点(P134)については、現役選手世代の私としては、さりげなくツッコミを入れたくなってしまう。
 「(それって、『キャプテン翼』の影響じゃないだろうか・・・)」と。

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