著者 |
編集部 編 |
出版社 |
ピエ・ブックス |
出版年月 |
2005年4月 |
価格 |
\1,800 |
入手場所 |
市立図書館 |
書評掲載 |
2006年8月 |
評 |
★★★☆☆ |
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2004年のアテネオリンピック・マラソン競技において、月桂冠を与えられた男女のメダリストが身につけていたシューズには、いずれも同じストライプラインが縁どられていた。
女子マラソンに出場した日本の3選手をはじめとして、陸上競技の、とりわけ長距離界においては、関係者から絶大な信頼を集めるブランド、「アシックス」。
その起源は、1949年に創業したオニツカ株式会社のブランド、「オニツカタイガー」にさかのぼる。
バスケットボールシューズからスタートした同社は、またたく間に国内のスポーツシューズ市場を席巻し、マラソンのアベベ・ビキラや、円谷幸吉をはじめとした名選手が愛用したというから、当時からマラソン競技では高く評価されていたことが伺える。
本書は、「アシックス」誕生前の「オニツカタイガー」時代の歴史を振り返りながら、ここ数年再び見直されている「オニツカブランド」の魅力を探っている。
創業当時の懐かしいエピソードから、創業者である鬼塚喜八郎氏へのインタビュー、種目毎に分類されたシューズやカタログのカラー写真など、マニア(?)には喉から手が出る情報が満載だ。
なかでも、より走りやすさを追求した「マラソン足袋」の開発エピソードには興味をそそられる。
そこにはこんな紹介文が添えられている。
「・・・。そうして1953年、最終段階の試作品に若干の直しを加え、“ヒモ付き”“ラバー付きソール”“踏まず部分のベルト”の3つを可能にした、オニツカの「マラソン足袋」が市場にデビュー。商品としての機能と、ビジュアルを兼ね備えたものに生まれ変わったのだ。(P34)」
うーん、デジタル全盛の時代に、なんて感性を刺激する文章だろうか。この一文だけで、オニツカの溢れんばかりの茶目っ気が伝わってくるようだ。 しかも、05年には(足袋の)ニューモデルを発表するなど、オニツカの足袋に賭ける意気込みには、並々ならぬものを感じてしまう。
パラパラめくっているだけでも楽しめて、随所に見られるアイデアにうならされてしまう、そんな一冊です。
※ 参考書籍:「オニツカの遺伝子」(ベースボール・マガジン社新書、2008)
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