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風が強く吹いている

風が強く吹いている
著者 作:
画:海野そら太
出版社 集英社
(ヤングジャンプコミック)
出版年月 2008〜2009
価格 各\540〜
入手場所 bk1他
書評掲載 2009年7月
★★★★☆

 素人集団が半年で箱根駅伝出場を目指すという、突拍子もないストーリー。でも個性溢れる登場人物の姿に、いつの間にか惹かれてしまう。
 ボリュームたっぷりの装丁ながら、夢中で読んでしまった小説が出版されてから、すでに3年が経とうとしている。
 つい先ごろには、小説が文庫化され、今秋には実写版映画の公開が予定されているなど、ここへきてこのタイトルが再び脚光を浴びているようだ。

 本書は、もちろん大ヒットした同名小説の漫画版で、ストーリーも原作に忠実に沿っている。
 小説版では挿絵は一切なく、登場人物の姿を想像しながら読まなければならず、序盤は名前を覚えることに苦労させられたけれど、漫画ならばその心配はいらない。蔵原走(かける)の鋭い眼や、ニコチャンの生活が滲み出ている不精ひげなどを見るだけで、登場人物に関する説明は不要だろう。
 そんな意味では、原作より素直にストーリーに没頭できそうだ。

 箱根駅伝は歴史やロマンに溢れ、若者が青春を懸ける熱いドラマだ。それだけに、小説や漫画のテーマとしては最高の素材のはずだが、選手10人とプラスアルファに強い個性を与えることはなかなか難しい。
 小説版はその難題をクリアし、かつストーリーも明確だった。
 漫画版では、ストーリーは若干簡略化されてはいるものの、力強いランニングフォームや、シューズの細かい部分まで丁寧に描き、そして何よりも、本書のタイトルでもある「風」を感じる疾走感が全面に押し出されている。

 たかが漫画とあなどることなかれ。
 走る気持ちよさを表現している作品で、絵だけ見ていても楽しめそうです。

※ コミック単行本は全6巻。参考書籍:小説版「風が強く吹いている」

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