著者 |
外岡立人 |
出版社 |
講談社 |
出版年月 |
2000年7月 |
価格 |
\1,700 |
入手場所 |
学生生協 |
書評掲載 |
2001年2月 |
評 |
★★★★★ |
|
著者は医学博士で、いずれも「生と死」に関連した3つの短編集。テーマは「生きるべきか死ぬべきか…」といったところかな。 陸上関係は、第1章の『メダル』だけだが、それ以外の2つの章も非常に哲学的な内容で、深く考えさせられることが多く、不思議な魅力にとらわれて、のめりこまされてゆく。 あらすじを第1章の『メダル』から。 −国立大学に入学した、ごく普通の女の子が、研究肌の助教授による独自のトレーニング理論をもとに実力をつけ、「将来のメダリスト」と称されるまでに急成長を遂げるが、彼女は難病を抱えていた。 自らのトレーニング理論を証明したい一方で、彼女の「生(=命)」を尊重する気持ちと葛藤する助教授に対し、「より人間らしく生きるため」には、彼女の望みこそ尊重すべきだとする主治医に促される、息詰まる対話シーン。 そして彼女は最後のレースへと出発する・・・−。 陸上関係の本として紹介するほどのこともないのだが、現役医師でもある著者による生理学的、医学的な記述が、小説の中にうまく溶け込んでいる。
ストーリーも涙もろい人は泣いてしまうかもしれない感動的な内容で、読後の余韻が残る、数少ない作品のひとつです。
|