著者 |
草薙渉 |
出版社 |
集英社 |
出版年月 |
1993年4月 |
価格 |
\1,100 |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2006年6月 |
評 |
★☆☆☆☆ |
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楽しくなく、哀しくもなく、サスペンスという訳でもなければ、エンターテイメントがあるわけでもない。
結論から言うと、私は今までに、これほどまでにつまらない小説を読んだことがない。 少年時代の他愛ない友情や、淡い恋愛が絡んではくるが、これらがストーリーに影響を与えているわけではなく、読み終わっても、一体なんのための脇役なのかすら分からない。
かつて一世を風靡した「週刊少年ジャンプ」の集英社だから、ハズレはないだろうと思って買ってしまったら、想像を絶するつまらなさで、愕然とした。 それでも、数少ない「長所」を探すとすれば、類書にはない、登場人物の個性かもしれない。 だがそれもまた、極めて「人工的な個性」であって、白々しさに満ち溢れている。
運動音痴で、自他ともに認める平凡な少年「ツトム」は、体育の授業で測定した100m走を、快(怪)記録で疾走した。 そのタイムは手動で「9秒9 」。 土のグラウンドで、テニスシューズを履き、しかも服装はジャージだった。 再測定では、スタートで出遅れるが、「9秒7 」だった。 驚いた陸上部の顧問は、10日後に行われるインターハイ予選に、特例で出場させ、とんとん拍子でオリンピックに出場し、「9秒62 」の世界記録保持者となる・・・。
と、まあ終始こんな調子で、小学生の描く「夢作文」を読んでいるかのようだ。
文章がヘタ! 起承転結がない! クライマックスがない! 伏線がない! 喜怒哀楽もない! そもそも何を言いたいのか分からない! と、ないないづくし。
ブックガイドで紹介する以上、なにかおもしろい点はないかと考えてみたものの、残念なことにフォローすべき点が全く見当たらない。
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