著者 |
中日新聞社
運動部 編 |
出版社 |
中日新聞本社 |
出版年月 |
1995年8月 |
価格 |
\1,900 |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2003年3月 |
評 |
★★☆☆☆ |
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1995年に中日新聞に連載された同タイトルによる記事をまとめた、スポーツから近代史を振り返る短編集。 選手が活躍した時代や、歴史に残るような記録を出した年に、国際政治は、永田町では、経済はどうだったのかなどについて、文中に注釈を入れる構成になっていて、スポーツ史と社会史がシンクロされていて、「(なるほどこの記録が生まれた時にはこんなことがあった年なのか)」などと考えながら読むと、非常におもしろい。
記事の趣旨はよく分かる。史実も間違っていない。取材も深くされているようだ。 しかし、あまりに文章が下手で、読んでいて疲れる。 あえてこのような書き方をしているのかもしれないが、行間を補う言葉が全くなく、文章が途切れ途切れで、情景が流れていかない。 言うなれば、普通の作品が映画だったら、この本はスライドを見せられているだけ、といった感じ。 例えば、F1の中嶋悟選手の話題を取り上げたP360では、こうある。 「雨の中嶋。ひと雨くると別人になる。土砂降り。コースが川のようになっていたこの日もそうだった。・・・ 」 おそらく著者は、中嶋悟は雨のレースには強く、「雨の中嶋」と呼ばれていた、と言いたいのだろうが、これではあまりに言葉足らずではないだろうか(管理人はメモリー不足のために、たびたび砂時計が回転していました)。 また、年代表記の方法も統一されていない。「19○○年(昭和○○年)」と表記している時もあれば、「昭和○○年(19○○年)」と表記しているものもあったり、なかには西暦か元号か表記せずに「○○年」とだけで表記している時もあり、大新聞の連載記事とは考えられない混乱ぶりだ。
インタビュー記事で構成した飯島秀雄さんの話題など、なかには読みやすいテーマもあるが、これがペンで飯を食っているものの記した作品なのかと思うと情けなくなる(読むことが苦痛で、ついに完読するには至りませんでした)。 ユニークな構成で、きちんと調べられている内容なだけに非常に残念だ。
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