東京大学応援部物語 |
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それまで勉学一筋で、最難関の入学試験を突破してきた“東大生”が、なぜここまで自分を犠牲にして、理不尽で矛盾だらけの応援部で過ごすのだろう。 “東大・応援部”。生活の中心を応援部に奉げる彼らには、普通の大学生活を謳歌する時間はもちろん、授業に出ることすらままならない。 時代錯誤とも思える、厳格な規律と上下関係。そして狂気とも思える練習と体罰。 なぜ東大生の彼らが、ここまでして応援部に陶酔し、自分を痛めつけるのだろう。 世の中には、こんな凄い奴らがいる。読み終えた後は、そんな尊敬の思いの裏に、どこかに置き忘れてきた“熱いなにか”を思い出させてくれるようだ。 著者はこの取材の前に、ある雑誌のエッセイで「東大は下位入れ替え制のない東京六大学野球という伝統のぬるま湯に安住しているとしか思えない」と語っている通り、応援に対する見返りが、“勝利”で得ることがほとんど期待できないにも関わらず、なぜ彼らは声を張り上げ、狂気乱舞するのだろう。 そんな疑問に対して、著者は取材を通して答えを探しているようだ。 TBS系「ZONE(2003年10月19日放送)」で彼らを取り上げていたシーンを見て、この本を読んでみようと思った。 放送されたその様子は、まさに狂気そのものだった。 この一冊で、彼らの凄さの全てを語ることは到底不可能なのだろうけれど、非常にうまくまとめられていて、読んでいるうちにどんどん引き込まれていく。 矛盾だらけの4年間(+α)を経て、矛盾だらけの社会に出ていく彼らにとっては、この先どんな高い壁に遭遇しても、きっと乗り越えていけるだろう。 |