走れ!都大路
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毎年全国高校駅伝では必ずと言っていいほど優勝候補として名が挙がり、ハイレベルな九州を代表する名門校、福岡・大牟田高校駅伝部の長い歴史と活躍を、同校関係者・有志らがまとめた一冊。 ないないづくしの創部からわずか2年で、師走の全国高校駅伝に出場。そして誰も予想していなかった準優勝という快挙から始まった輝かしい歴史ではあったが、その後は長らく全国大会に出場すらできない年が続く。 大牟田高校の黄金時代を築くことになる大見治夫が、母校の教員として赴任してきたのはこの頃だった。 この作品は、大牟田高校の新たな歴史を今もなお塗り替えつづけている、大見監督の駅伝に対する情熱と指導哲学をつづった一冊といってもいい。 順風満帆と思える同校の歴史ではあるが、全国優勝した翌年からパタリと県大会でも勝てなくなり、監督が自暴自棄に陥ったこともあったり、優勝候補に挙げられながら、体調管理の失敗によって敗退する年が続くこともあった。 しかしそんな苦しい時期を乗り越えながら、生徒と共に成長している様には勇気づけられる。 顔と名前が一致し始める、磯松大輔選手、川波貴臣選手が入学したあたりから、作品ががぜん面白くなってくる。 優勝候補筆頭だった平成13年には、1区でまさかの46位という大ブレーキを起こしてしまいながらも、7位入賞したことは記憶に新しい。 勝つべき年には必ず勝ってくる、サイボーグのように堅実な西脇工高に対し、思わぬところでミスをしてしまう大牟田高校は、精神的に未熟な高校生ランナーの体調管理の難しさを教えてくれるし、教訓も数多く教えてくれる。 地元新聞社による出版のため、原則として注文購入になるが、それだけの価値があると感じる一冊です。 |