著者 |
伊勢暁史 |
出版社 |
双葉社 |
出版年月 |
1996年10月 |
価格 |
\1,400 |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2003年9月 |
評 |
★☆☆☆☆ |
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Q 「アトランタオリンピックでの、女子5000mでの志水見千子選手の(4位)入賞は、オリンピックでのトラック競技の入賞としては、東京大会の依田郁子選手以来32年ぶりの快挙であった。」マルかバツか? 答えはバツ。前回大会のバルセロナ大会で、高野進選手が400mで8位入賞している。正しくは、「女子種目としては」の一言が必要なのだが、いまいち記述が曖昧で安心して読み進めることができない。 読みながら「(あれ? そうだったかな?)」と喉に小骨がつかえたような感覚を覚えながら、さまざまな文献をあたりながら事実を確認していくと、間違いや曖昧な記述の多さに驚かされる。
「市立船橋高時代の渡辺康幸選手が、小出義雄監督の教え子(P86)」との記述も、ホントかな?、と思わず事実を確かめたくなってしまう(確かに、渡辺選手も小出監督も市立船橋高校で接点があるようだけれど、どれほど直接影響を受けていたのだろう? 私はこれまで読んできた書籍や雑誌のなかで、二人の接点は一度も目にしたことがないだけに、にわかに信じがたい・・・)。 間違い探しという意味では、あいまいだった陸上競技史のテスト問題集としては最良なのかもしれないが、残念ながら、この250ページのなかには、ちょっと陸上競技に詳しい人であれば、『ウォーリーを探せ』より簡単に間違いに気づいてしまうかもしれない。
それでは、100歩譲って、多くの事実相違の記述ミスには目を瞑って、本の内容に目を向けて見るとすると、著者が本書のなかで一体何を伝えたいのか、全く伝わってこない。
読み終わった後の感想は、「だからなんなの」と思わず突っ込みを入れたくなる。
内容的には評価のしようがないのだが、選手やその家族たちの貴重な写真が多く掲載されていた点と、事実確認を通じて正確な知識を得るきっかけになったという点で、身銭を切った意味を見出すしかない。
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