著者 |
織田淳太郎・
加部究 |
出版社 |
東京書籍 |
出版年月 |
2000年8月 |
価格 |
\1,700 |
入手場所 |
bk1 |
書評掲載 |
2002年3月 |
評 |
★★★★☆ |
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一度は敗れたが、再起を誓い、復活していく様を、8人のスポーツ選手にスポットを当てて描いている作品。
勝敗を決することが競技スポーツの特性である以上、たった一人の勝者の影には、数え切れない“敗者”が生まれるが、ここに登場する8人の選手からは、「次は必ず勝つんだ」という、恐ろしいまでの気迫が伝わってくる。
陸上関係では、競歩の板倉選手と、マラソンの浅利選手が登場している。なかでも、板倉選手の悲運と、そこからの復活には鳥肌が立つ思いがした。 文章からは、彼女の物腰柔らかな雰囲気が伝わってくるが、鉄のように強く、固い意志に敬意を払わずに読むことはできない。
野球の西本聖選手の話も、エリートに対する劣等感からくる不屈の精神が共感した。 ここに登場する8人に共通することは、自らの人生の全てをその競技に注ぎ込まんばかりの強い情熱だ。 敗者に対して、不運という一言で片付けてしまうのは失礼だろうが、スポットライトを浴びることができる選手はごくわずかな、選ばれた者たちだけだ。しかし、決して陽の目を見た選手ばかりではない彼らではあるが、その生き方には感服する。 そしてまた、勝負の厳しさという現実もこの本は教えてくれる。
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