著者 |
玉木正之 |
出版社 |
NHK出版 |
出版年月 |
2003年1月 |
価格 |
\1,500 |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2003年6月 |
評 |
★★★☆☆ |
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日本のスポーツが、体育(教育)から卒業できずに、“SPORTS”として根付くことができないのはなぜか? アメリカでは野球やバスケットボールのように、中断タイムがある種目が盛んなのに、ヨーロッパではサッカーやラグビーのように、息つく暇も無いような種目が盛んなのはなぜか? そこにはやはり、その国の歴史や文化、イデオロギーやナショナリズムが隠されている。 なるほど、このようにスポーツの歴史を探っていくことは、スポーツのもう一つの魅力を教えてくれて、これこそ体育の教育の場で取り入れるべきことだと思う。
本書は、そんなスポーツの歴史的・文化的な側面から、スポーツを哲学的に探っている、ちょっと硬めの内容で、とても考えさせられることが多い。
残念なことに、世界のスポーツ環境に比べて、日本のスポーツ環境は未熟であることを、この本は教えてくれる。 自治体や企業がチームをサポートしていて、ジュニアからシニアまで幅広い層が楽しんでいる欧米のクラブチームに比べ、日本では企業活動の一環としてプロスポーツが成り立っているために、ごく一部のエリート選手しかスポーツを行う環境が整っていない。
一つの企業が、スポーツチームを丸抱えすることのムリが表れている今こそ、抜本的な環境改革が必要。そんな一石を投じてくれるような一冊です。 スポーツの歴史・文化を知るための教養を身につけるためにも、最適です。スポーツを専攻する大学生におすすめ。
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