佐藤圭汰も駒澤か。これからますます目が離せないな。
1500m、5000m、10000mと中長距離3種目で高校記録を塗り替えた若き逸材の進路は、注目を集めたに違いない。
田澤廉や鈴木芽吹ら10000m・27分台ランナーに加えて、佐藤が加入する今年度の同校の活躍が今から楽しみになってしまうのは、もちろん私だけではないのだろう。
陸上競技専門誌では佐藤の入学と同時に、早速特集記事が組まれ、入寮に密着するなど、スーパールーキーへの期待の高さが伺える(月刊陸上競技2022年5月号より)。
そんな学生長距離界注目の部員約50名が生活する拠点「道環寮」で、寮母として支えているのが、本書の著者であり、大八木弘明監督の妻・京子さんだ。
本書は、学生のハードトレーニングを支える栄養満点の料理レシピが、フルカラーで紹介され、食欲をそそる工夫にあふれたアイデアの数々に驚かされてしまう。
ところで、いまでこそ学生長距離界の名門として知られる同校ではあるが、大八木さんがコーチとして就任する頃は、寮での規律も乱れ、箱根駅伝予選を突破することも不安視されるほど低迷していたそうだ。
そこからの飛躍の背景について同氏の著書によると、往時を振り返り、妻の存在はあまりにも大きかった。特に食事面に関しては感謝しても感謝しきれない。就任した当時は、1年生が食事当番を担っていたのだが、それでは満足な食事はとれないし、1年生の練習にも支障をきたす (駅伝・駒澤大はなぜ、あの声でスイッチが入るのか
P134より)と京子さんへ食事作りを依頼し、40歳を過ぎてから栄養士の資格も取るなど、私に負けないくらい、妻も熱い情熱を持った人 (同P135)と心から謝意を述べている。
また、毎日時間をかけた食事だけではなく、「手間を省いて栄養アップ」と題されたメニュー(それでも手が込んでいるように思えるが)を紹介したり、コンビニ活用術を紹介したりと、一般の読者向けにも活用できそうなアイデアもふんだんに盛り込まれている。
料理以外にも、コラムとして「道環寮の1日」を写真入りで挟んでみたり、箱根駅伝の2日間を食事の観点から時間軸で追ってみたりと、大学駅伝をより深く知りたいファンに向けても、コアな情報を提供してくれること請け合いだ。
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