著者 |
日本ドリームプロジェクト 編 |
出版社 |
いろは出版 |
出版年月 |
2009年7月 |
価格 |
\1,900 |
入手場所 |
蔦谷書店 |
書評掲載 |
2009年7月 |
評 |
★★★★☆ |
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本書を手にとってみて、ちょっと値段が高いなー、と思ったけれど、ページをめくって驚いた。 写真集ほどの高級紙は使っていないものの、アスリートが普段見せることの少ない、弾けんばかりの笑顔の写真が紙面一杯に広がっていて、2000円近くする価値が十分にある「作品集」だ。
バレーボール・栗原恵選手がアタックする瞬間の、躍動する姿。フェンシング・太田雄貴選手が醸し出す、張りつめた空気。そして、それらを背景に添えられた、透明感のあるポエム(詩)。 アスリートについて語るときに、こんな切り口もあるのだと、つくづく感心させられてしまう。
本書は、アスリートの夢に対し、「きむ」が詩を贈るというシンプルな構成ながら、著名なトップアスリートが、ときには自筆で熱い「夢」を記し、付属のDVDでも気さくにインタビューに答えている姿には、子供たちに夢を追い続けることの大切さを、やさしく伝えようとする姿勢がみてとれる。 何度も挫折し、悩み、苦しみながら、現在に至っているアスリートが語る本書は、夢や希望を失いかけている日本の子どもたちにこそ読んでもらいたい。
本書が出版するに至った経緯は「あとがき」に記されているが、そのきっかけは『子どもたちに「夢に向かって生きる素晴らしさを伝えたい」』という志に共感したメンバーらによるプロジェクトから始まった。 恥ずかしながら、「きむ」なる人物は、私は本書を通じて初めて知ったのだが、詩と写真を組み合わせた書籍やポストカードを多数刊行するだけでなく、これらを出版する会社も経営しているという。 アスリートの躍動する精神と肉体を、詩と写真によって出版物に仕上げた斬新なアイディアは、豊かな才能に恵まれた、若き芸術家の、ほとばしるエネルギーを感じてしまう。
そういえば、陸上中長距離の小林祐梨子選手は、本書の中で、小学生時代に見た高橋尚子選手のオリンピック金メダルに憧れて、陸上競技を始めたと語っていた。 本書に登場したアスリートのなかから、そんな「憧れの選手」がどれだけ生み出されるか。そんなことも楽しみにしながら、私自身も本書から勇気をもらった気になってしまう。
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