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裕子へ

裕子へ
著者 有森茂夫
出版社 スターツ出版
出版年月 1996年12月
価格 \1,300
入手場所 ブックオフ
書評掲載 2002年3月
★★★☆☆

 女子マラソンで活躍中の有森裕子選手の父茂夫(しげふ)氏が、娘の誕生からアトランタでの感動の銅メダル獲得までを、親の視点から綴った書籍。

 先天的股関節脱臼というハンデを負いながら誕生したが、バスケットボールや陸上に熱中し、両親をハラハラさせながら成長していく様子がよく分かる。
 才能に恵まれたわけでもない娘が、体育の名門・日体大へ進学し、さらには強豪実業団チームであるリクルートへの押しかけ入社と、思い立ったらすぐ行動する娘の行動には驚かされたことも多いようだが、そんな「まっすぐ」な性格に育てた両親の子育て方針も詳しく綴られている。

 小出監督との衝突がうわさされたり、「わがまま」と受け取られかねない言動もあるが、自分が正しいと思ったことは妥協せずに突き進んでいく彼女の性格だからこそ、「オリンピックでもう一度メダルを取りたい」という強い意思を実現させたのではないだろうか。
 教師を務める著者の「曲がったこと」を許さない厳格なしつけがあってこそのメダルなのかなと感じさせてくれたりもした。

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