著者 |
松本一路 |
出版社 |
青春出版社 |
出版年月 |
2003年5月 |
価格 |
\1,400 |
入手場所 |
平安堂書店 |
書評掲載 |
2003年9月 |
評 |
★★★☆☆ |
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30数年間をアナウンサーとして過ごし、現在も活躍している著者が目撃してきたスポーツの名場面や失敗談、そしてスポーツ報道の難しさを伝えてくれる一冊。
まだ記憶に新しい、横浜高校・松坂大輔投手の甲子園でのノーヒットノーランを、視聴者にどのように伝えるべきか。 回を重ねるごとに高まる周囲の期待とは裏腹に、緊張感が高まるアナウンサー席で熟慮を重ねた結果が、本書の帯を飾ったアナウンスだった。 スポーツの感動とはいかにして伝えられるべきものなのか。100回のショートゴロがあれば、100回の描写の違いがあるべきだと著者が語るように、選手の動き・躍動感を上手に伝えられるアナウンサーは残念ながら少ない気がする。 耳障りなアナウンスや、下手な表現が多すぎて、もはやアナウンサーは必要ないとも感じているのだが、著者も昨今の報道姿勢については警鐘を鳴らしている。
スポーツの感動はアナウンサーが作るべきものではない、それを分かっていないアナウンサーに一読をお勧めして、感動を上手に伝えることができる、質の高いアナウンサーを育ててもらいたい。
また、この本には触れてはいなかったが、視聴率にこだわった番組に終始してしまう昨今のスポーツ報道番組に対しても、私としては警鐘を鳴らしてもらいたい。 今年の世界陸上は予想通りとはいえ、ひどい報道だった。アナウンサーにはもっと事前に勉強してもらいたいし、日本の放送スタジオの、視聴率にこだわったセリフと手際の悪さには苛立ちすら感じた。 プロの選手のパフォーマンスを伝える以上、伝えるもののプロ意識を見せてもらいたいものだ。
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