メダルへの食卓

　リクルートランニングクラブの栄養士を務めていた著者の、エッセイに近い読み物である。
　サブタイトルは「有森裕子　アトランタ五輪銅メダルを支えた食事法」とあり、小出監督と有森選手らに同行したボルダーでの合宿などを通じて、有森選手の『食』へのこだわりが随所に見て取れる。
　スポーツ選手にとって食事がどれだけ大切なものなのかを教えてくれる一冊である。

　小出監督は、強くなるためには練習だけでなく、食事に関してもプロ意識を持っていて、自身の教員時代の経験から、子どもの食事が知能指数やその子の行動にも反映されることを身を持って知っている。
　対象読者はやはり部活をやっているジュニア世代や、その母親だろうか。
　簡単なレシピも載っているので、お母さんはもちろん、一人暮らしの学生などにもうれしい。

　それにしても、アトランタオリンピックには、有森選手の同僚の志水選手（5000ｍで４位入賞）も出場しているというのに、有森選手の話題しかないのはいかがなものか、とT&F全体の活性を願う私としては感じずにはいられないのだが・・・