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カリスマ体育教師の常勝教育

カリスマ体育教師の常勝教育
著者 原田隆史
出版社 日経BP
出版年月 2003年10月
価格 \1,400
入手場所 蔦屋書店
書評掲載 2004年9月
★★★★★

 大阪市立松虫中学校をはじめ、中学陸上界において数々の名選手を育ててきた著者の、指導哲学やそのセオリー、そして教育現場や家庭での生活指導に至るまでの、熱い情熱と独特な方法論を綴った、中身の濃い一冊。

 読み進めていく度に、目からうろこが落ちた気がする。
 荒廃した学校を立ち直らせようと、陸上競技によって生徒たちの夢と誇りを育ませることを決意した(松虫中学)赴任当時には、生徒自身はもちろん、親や教師までも、彼らが日本一になることなど想像もしていなかった。
 だが、著者の熱い情熱と、“心”を強くするための独特の指導方法などにより、「3年後に日本一」という公約を見事に成し遂げてしまう。

 指導方法のキーワードとしては、具体的な「目標設定」と、細かな点にもうるさい「態度教育」が挙げられる。
 いずれも“心”に関係していることで、「目標設定」を自ら掲げることで、練習に対する強いモチベーションと、大試合にもあがらない強い精神力を養おうとしている。
 そしてユニークなのが、2つ目の「態度教育」なのだが、著者はこの効用について、“心”をきれいにし、謙虚で素直な人間を育てる。それによって、素直に教えを聞き入れて真剣にやろうという気持ちが生まれる、と考えている。
 一言でまとめるのは簡単だが、「目標設定」については、本人にとって実現可能な最大限の目標を深く考えさせ、それをびっしりと紙に書かせる。そして「態度教育」に目を向けると、靴のそろえ方から家事の手伝いに至るまで、自主的に行うようになるまでしつこく教育するなど、著者の指導方法は徹底している。

 現在は民間企業の研修担当としても活躍されていて、中学生だけでなく、大人にも十分に応用できる、大切なことばかり書かれている。
 「勝つ」ことは偶然ではなく必然である。この本を読み終えて、そんなことを感じずにはいられない。

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