著者 |
朝日新聞
be編集部 編 |
出版社 |
晶文社 |
出版年月 |
2003年 |
価格 |
\1,500 |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2004年10月 |
評 |
★★★☆☆ |
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朝日新聞の別刷り「週末新聞『be』」に掲載されたコラムをまとめた短編集。 スポーツの世界を中心に、その道の「一流」を育てるために、指導者らはどんな哲学やノウハウを持ち、彼らに応用しているのだろう。そんな優れたコーチング術に加え、「人材育成」「組織」論をも探っていこうと創刊されたのが、本書のテーマである。
野球、サッカー等のメジャースポーツはもちろんのこと、スケートやシンクロ、果ては囲碁やバイオリン、芸能プロダクション等の文化・芸能活動まで対象を広げ、様々な分野で活躍する一流指導者たちの人心掌握術が満載されている(陸上関係では、中国電力・坂口泰監督、ワールドウイング・小山裕史氏らが登場)。 それらの方法は人それぞれだが、彼らの多くが“指導のキーワード”として、「相手にわかりやすい言葉を、いかに的確なタイミングで与えるか」であると考えている。 例えばゴルフ界のデービッド・レッドベター氏が同様の考えを話していて、プロ野球・元阪神監督の吉田義男氏は、選手の行為に対して「その場で褒め」、「その場で叱咤する」ことを常に忘れないと言う。
活躍する分野は違えども、こうやって彼らに共通する「キーワード」を探しながら、更に自分に応用できる言葉を発見していくためにも、本書のような「指導哲学のエッセンス」が散りばめられた内容は最適なように感じる。
ただ、本書は新聞記事をそのまま転載してしまったかのような、作りの拙さがとても気になった。 年月を特定せずに「今月14日」とか「今春」などと書かれていることが多い。新聞掲載時には、このような表現で時期を推定できるが、単行本として出版する場合は修正する必要がないだろうか。 本書の中で「指導のタイミング」の大切さを説いておきながら、読者に対して「読むタイミング」に考えが及ばなかったのだろうか。願わくば、報道のプロである新聞記者として、早く「一流」に育ってほしい。
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