著者 |
中山竹通,
文・構成=井上邦彦 |
出版社 |
自由国民社 |
出版年月 |
2000年3月 |
価格 |
\1,300 |
入手場所 |
平安堂書店 |
書評掲載 |
2001年2月 |
評 |
★★★★☆ |
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世界最強と呼ばれたマラソンランナー・中山竹通選手の半生を、インタビュー記事を基に構成した自叙伝的作品。 中山選手の走りは、よく「天才」と称されることが多いが、決して天賦の才能に恵まれていたわけではないことが、この本を読むと良くわかる。 中山選手は、世界最高の練習によって世界最強の称号を手に入れたと言っても過言ではないだろう。
かつて、瀬古選手は宗兄弟の練習を見て、あまりの練習の激しさに驚いた、と言ったらしいが、その宗兄弟が中山選手の練習を見て驚いたという逸話がある。よほど驚異的な練習をしていたのだろう。
企業の名をアピールするためにトップを走る、というほど強いプロ意識を持って競技に取り組んでいる選手は、中山選手が初めてではないだろうか。 決して妥協することのない、中山選手の強い競技哲学を教えてくれる一冊である。
また、中山選手を形容する言葉には、「天才」の他に「悲運」という言葉が用いられるが、紛れもなく世界最強のランナーでありながら、オリンピックでは2大会連続4位、東京世界選手権では途中棄権と、「日の丸」を背負って走った世界大会で優勝することはかなわなかった。
更に、陸連や所属企業との確執、マスコミからの誤解など、波乱万丈の人生を送っている(あまりに過激な描写のため、“ダイエー不買運動”すら決意させてくれる一冊でもある)。
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