著者 |
金子麻理 |
出版社 |
西日本新聞社 |
出版年月 |
1999年3月 |
価格 |
\1,800 |
入手場所 |
bk1 |
書評掲載 |
2003年8月 |
評 |
★★★☆☆ |
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旭化成、沖電気で数々の世界に通じる選手を育てた名監督・広島日出国監督のインタビュー記事を基にした自叙伝。
農家の長男として生を受けた、走ることが何よりも好きだった少年が、憧れの九州一周駅伝で区間賞を獲得。 農家を継ぐはずの彼が、陸上の名門・旭化成にスカウトされ、日本の第一線で活躍し始める話題から、宮崎沖電気での女子長距離チームの創設に至る、さまざまな人生の岐路について、冗談を時折交えながらユニークに語られている。
宗兄弟、森下広一選手のスカウトや、社内で偶然めぐりあった宮原美佐子選手、“期待していなかった”谷口浩美選手の入社。そしてアトランタオリンピックで入賞するまでに成長した、全くの無名ランナー・川上優子選手との出会いなど、懐かしく思い出しながら、なぜ彼らが日本を代表する選手に成長することができたのかなどについても語っていて、参考になる点も多い。
自身が選手時代には、とんでもないコーチングによってオリンピック出場を阻まれた苦い経験を持っているが、それが現在監督として選手を育てている原点になっているのかもしれない。 この本には、広島監督と出会ったさまざまな人物が描かれている。そんな“出会い”というめぐり合わせの大切さも教えてくれるようだ。 ただ、これだけの名選手を育てているのだから、自身の指導哲学やチームの未来予想図なども聞かせてもらえば、もっと中身の濃いものに仕上がったと思う(特に、このような内容の本は、陸上関係者ぐらいしか購入しないのだから)。 もしかしたら、インタビュアーが陸上素人記者だから、遠慮して話していたのかな?
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