著者 |
早野美智代 |
出版社 |
旺文社 |
出版年月 |
2002年3月 |
価格 |
\1,000(税別) |
入手場所 |
ブックオフ |
書評掲載 |
2010年8月 |
評 |
★★★☆☆ |
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シドニーオリンピック金メダル、世界記録更新と、女子マラソンの歴史を次々に塗り替えてきた高橋尚子を、ジュニア世代向けにやさしく紹介する伝記で、このシリーズには松坂大輔、中村俊輔など、様々なトップアスリートが並んでいる。
対象年齢は小学校低学年ぐらいと思われる。そのため、多くの漢字にはルビが振られ、写真も豊富で読みやすい体裁に作られている。
兄の後ろを追いかけていた気弱な幼少時代から、負けず嫌いな性格が養われた中学時代、全国大会のレベルの高さを知った高校時代と、世代ごとに成長していく高橋の姿を、とてもわかりやすく描いている。
それはまるで、オリンピックで活躍するトップアスリートも、幼いころは特に目立ったところがない「普通」のひとなんだ、ということを教えてくれているようだ。
ところで、テレビを通じて伝えられる高橋の姿は、天真爛漫でいつも走ることを楽しんでいる印象があるが、シドニーオリンピック選考会に向けては、世界選手権の欠場を余儀なくされたり、最後の選考レース直前に食中毒をおこしたりと、幾度となく挫折を乗り越えて、今に至っているという姿も丁寧に描かれていて、対象年齢の読者にとって、「自分もがんばってみよう」と思わせるような希望の星であることは間違いないだろう。
いや、子供たちだけではない。
話題性やスター性に溢れた、マラソン界の申し子の伝記は、われわれ大人が読んでも、十分に楽しめると同時に、読んだ後に勇気をもらった気がしてしまうから不思議だ。
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