著者 |
満薗文博 |
出版社 |
小学館文庫 |
出版年月 |
2002年1月 |
価格 |
\500 |
入手場所 |
宮原書店 |
書評掲載 |
2002年3月 |
評 |
★★★☆☆ |
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既に小出監督に関する本は、本人が記したものも含めて、数多く出版されているが、高橋尚子選手がベルリンマラソンで世界最高記録を樹立した後に出版されたこの本は、冒頭でその話題に触れていて、新鮮な内容になっている。
高校教師を経て、実業団の監督へ転身し、それぞれに高校チャンピオン、日本チャンピオン、そして世界チャンピオンを育て、指導者としては頂点を極めたかに見える監督だが、監督の夢はまだまだ衰える気配は感じられない。 その一つが、実業団という枠にとらわれないクラブチームの創設に見ることができる。
2001年初夏の北海道を笑顔で駆け抜け、復活を印象付けた千葉真子選手は、「佐倉アスリートクラブ」なる所属で優勝を飾った。
学校の駅伝チームは、少子化の影響で単独チームを組めなくなり、企業は不況の影響で実業団チームの縮小を余儀なくされている。 佐倉アスリートクラブの設立趣旨は、旧来の概念だけにとらわれずに行動するという、監督の生き方が表現されているようだ。 常に新しいことに挑戦しつづけ、決して現状に満足しない監督は、心から“かけっこ”を愛する、少年のようだ。 この本を読むと、監督の許から、走ることを愛する選手たちが集まり、育っていく理由が分かる気がする。
追伸 その後小出監督は所属企業を退社し、佐倉アスリートクラブ監督として専念することを発表(2002/12/25)。翌年初頭には、教え子の高橋尚子選手も退社を発表している。
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