著者 |
助清文昭 |
出版社 |
文芸社 |
出版年月 |
2002年6月 |
価格 |
\1,200 |
入手場所 |
平安堂書店 |
書評掲載 |
2002年7月 |
評 |
★★★☆☆ |
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首を左右に振りながら、苦しげな表情でゴールに猛進していく姿が印象的な、記憶に残る名ランナー・君原健二選手の半生を追ったノンフィクション。
メキシコ大会での銀メダルを始めとして、オリンピックには東京大会から3大会連続出場し、日本の男子マラソン界の第1次黄金期を支えた一人と言っていい君原選手だが、オリンピックに対しての重圧に苦しむ姿や、アマチュアにこだわるあまりに、特別待遇される環境に苛立ったりと、オリンピックでの輝かしい成績からは想像しがたい葛藤が生々しく描かれていて、人間・君原健二を自ら冷静に見つめている。
君原選手と言えば、親友でもあった円谷選手との関わりがとかく取りざたされがちだが、円谷選手の無念を晴らすべく走りながら、亡き円谷選手ともう一度一戦を交えてみたかったという、無念さが伝わってくるようで、終始暗い印象の内容。 だが、一線を退いたあとに、自らの競技人生を生かした仕事を続けながら、ランニングを趣味として楽しんでいるエピローグに、ちょっぴり微笑ましく感じた。
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