著者 |
千葉真子 |
出版社 |
文春ネスコ |
出版年月 |
2004年 |
価格 |
\1,400 |
入手場所 |
市立図書館 |
書評掲載 |
2004年10月 |
評 |
★★☆☆☆ |
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旭化成所属時には、弱冠19歳にして10000mの日本記録を塗り替え、その後アトランタオリンピック5位入賞、アテネ世界選手権では銅メダルに輝くなど、今後の日本陸上界を担うホープとして期待された千葉真子選手。
しかしその後は度重なる故障に悩まされ、その名前は我々の脳裏から薄れていった。
「旭化成を退社」、という彼女についての小さな記事の裏には、「競技から退く」という意味が隠れているかに思えたが、走ることに対する彼女の気持ちは、途切れてはいなかった。
小出義雄監督の指導を求め、再起を図っていた彼女は、1年9ヶ月ぶりのレースとなる2001年北海道マラソンで見事な復活Vを飾り、パリ世界選手権ではマラソンで銅メダルを獲得。彼女は自らの力によって、「千葉真子」の名前を我々の記憶から蘇らせた。 だがその後アテネオリンピックの選考レースで2位となり、オリンピックでは「補欠」という任を命じられてしまう。
本書は、彼女が「補欠」という微妙な立場でオリンピックを迎えることになってしまった時期に、合宿地であるボルダーで著した作品で、自身の競技生活の10年間を微笑ましく振り返っている。 文体は軽い口語調で、サクサク読んでいける。相手に語りかけるような文章を読んでいると、まるでチバちゃんのあのハイトーンボイスが聞こえてくるようだ。 だが内容があまりにあっさりしすぎているので、何に悩んでいて、何が転機となったのかなど、メリハリがなくて、伝えたいことがよく分からない。 日本語の使い方も微妙に間違っているような気がして、安心して読むことができない(P60、「独り相撲 」など)。
ふと疲れたときにパラパラめくるには適しているかもしれないが、価格以上の価値を見出すことはやや難しい。
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